“人物のスケッチ”って何だ

部屋の整理をしていたら、
大学の頃に書いた散文やら何やらがごそっと出てきた。
たとえば、こんなの。

タイトル
男になるんだよ、おれは

 男子としてオギャーとこの世に生を受けたからには、やはり人生において男らしいことをしていきたいものだと思う。
 男らしさを十二分に発揮してこそ、男として胸を張って世間を歩けるというものであり、また、「あの人、ええ男っぷりやわぁ。うち、あんな人好っきゃわぁ。もうお連れさんは居てはるんやろかぁ」「ちょっとあの人見たってぇー。肩の風切り具合がいなせやんかいな。甲斐性ありそうで、よろしおすなぁ」と、婦女子方の心をグッと掴んでこそ、男人生冥利に尽きると言えるのではないか。
 では、男らしさを発揮する行為・言動とは何かと問うてみるに、その最たるもののひとつが、自分は「断言」だと思う。揺らぐことのない意志をもって、自分の思うところをここぞという場面でバシッと言い切る。古くは、曹操、ナポレオン、織田信長、ドン・キホーテ、坂本龍馬、チェ・ゲバラ、遠山の金さんエトセトラ、時代のど真ん中を生きた英傑たちは、ここぞの断言をもってして次代を切り拓き、それゆえにその雄姿が後世にまで語り継がれ、憧れの男としていまなお人々を魅了してやまぬのである。自信と力強さ。いざという時に頼れるカンジ。これである。草食系やゆとり世代など、風が吹こうもんならパタリ倒れてしまうような、ヒョロヒョロの精神のメンズが巷に溢れる昨今。経験と知識、そして次代を読む勘に裏打ちされた一言を発する、物申すことこそ、男に生きる醍醐味であり、また、その自信に満ちた姿が婦女子の心をグッと惹きつけるにちがいないのである。
 また、断言するということは責任を負うということでもある。重要な会議やプレゼンでバシっと断言することで、プロジェクトを前に推し進め、ビジネスのイニシアティブをとる。そうして、勝ち組やらエグゼクティブなどと言われる人々が、そのポジションにのぼりつめているであろうことは容易察しがつくというものである。いま成功するために必要なのは、当世風に言えば「断言力」。これによって我が人生をガンガン切り拓いていき、自分もまた時代のど真ん中を生きることができるのだ。
 そういうわけで、自分はどんどん断言することを決意。日々これを実践していくことにした。したぜ。
 思い立って数日、そんな志の高さが天に届いたのだろうか。ありがたいことに早速、断言をかます機会に恵まれた。運気がうまくまわり始めるとはこのこと。これから自分の人生は勝ちのスパイラルに突入するにちがいない。本日はまさしく我が人生の転機。というわけで自分は断言するにふさわしい服装に身なりを整え、威風堂々意気揚々、3対3の合コンに出かけた。


書き直して掲載してみました。
たしか「人物のスケッチをせよ」というゼミの課題だった。
人物のスケッチって何だよと思ったけど。
当時自分は、
“真面目に考え一生懸命に生きているんだけど、
 きっと考えが足りない、どこか抜けている、的がすこしズレている
 ゆえに毎日が思うようにいかない。
 けど、キュートな奴”
というような人を書きたくて書いたんだった。

ゼミの人たちは皆、三人称で書いてきていた記憶がある。
“男として立派になりたい”という決意、
でもその実践の場が合コンかよ、というマヌケっぷり。
「この文章、いかかでしょうか?」という私の問いに皆戸惑い、
ゼミ室がシーンとなったことだけは今でもはっきりと覚えている。
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by hiziri_1984 | 2012-09-11 23:55 | 散文  

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