『kocorono』


bloodthirsty butchersのいまを追った、
ドキュメンタリー映画『kocorono』を観た。
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冒頭いきなり、バンドの経営面での運営がうまくいっていない、
そんなお金の話合いが展開される。
ちょっと、衝撃的だ。
その後も、メンバー間の不和とか苦渋する姿が遠慮なく映し出される。
生々しい。

「(バンドよりも)大切な日常がある」という言葉、
レコード会社との仕事に対するスタンスのズレ、43歳という現実、
ロックバンドをやっている人たちの見えざるリアルが伝わってくる。
フェスで交わされる2人のやりとりが、印象的だ。

射守矢:走りたいから走るだけじゃ、社会を生きていけないじゃん。
吉野寿(eastern youth):でも、走りたいから走ってるやつに
グッと説得力があるわけじゃん。
今日のブッチャーズを見て、それを感じた。

この作品は、プロモーションではない。
これを観たからといって必ずしもブッチャーズを聴こう、
という風にはなっていないし、していないと思う。
「情熱大陸」や「トップランナー」のように
饒舌でもなければ、観る人をある種パッケージ化された
ポジティブへ導くだけのものでもない。

苦しんでいる人たちがいて、それがありのまま撮られている。
演奏でそれらの苦難が昇華されるのかと思ったら、
「おめーら、(リズムが)はえーんだよ」(吉村)と怒号が飛ぶ。

それでもやっぱり、ひとつのバンドとして音を鳴らす時、
舞台裏のいざこざを超えて、ブッチャーズだけの音が、
グワーっとそこに現出する。多くの人たちが引き込まれていく。

「自分はアーティストとかミュージシャンじゃないんですよね。
 ただの、“バンドの人”なんですよね」(射守矢)

様々な「うまくいかない」やりとりが交わされる中でも、
メンバー一人ひとりが、
吉村が紡ぐ音と詩の世界、そして、
自分たちのバンドサウンドを信じていることが伝わってくる。

しかし、何度もさまざまな“現実”と衝突する。
彼らもまた、他のバンドやアーティスティックな活動をする人と同じく、
自らの表現活動でメシを食っていく難しさを抱えている。

過去の実績も未来への淡い期待も削り、
“いま、ここ”に迫った長編ドキュメンタリー。

自分らの音楽を信じて20年以上やってきた誇りと
その軌跡に拠ることなく、バンドをやり続けて生きている人たちの覚悟を観た。

おもしろかった。
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by hiziri_1984 | 2011-08-21 17:24 | お酒を頂きながら鑑賞  

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