<   2013年 11月 ( 2 )   > この月の画像一覧

 

怖い音 「サイレン」


怖いものは嫌いだけれども、好奇心でついつい見たくなる。聴きたくなる。

「サイレン(SIREN)」というホラーゲームがある。

サウンド・サイコ・スリラーという触れ込みの通り、
謎のサイレン音がストーリーテーマになっている。
その音というのが不気味で怖い。

ホラーゲーム「サイレン」は、
TVCMがあまりに怖すぎて放送禁止になってそれでかえって話題になったり、
実際の内容も完成度が高く、
ホラーゲームの金字塔になった。
(ちなみに放送禁止になったCMはYouTubeで見れます)

その後、ゲームが売れたこともあって映画化された。
7、8年くらい前の話だ。
当時のある日、夜中にたまたま点けたラジオ番組で
映画「サイレン」の音響制作スタッフが、
宣伝がてら出演して作品の見どころを話していた。
そのうち例のサイレン音について話が及ぶと、
音響マンの彼は
「実は、あのサイレン音の中には、人が恐怖を感じずにはいられない“ある音”が入っているんです」と語った。
MCが「その音はなんですか」と尋ねると、
彼は言った。

「女性の声なんです」

一瞬スピーカーの向こうがしーんとなった。
台本にない内容だったのか、MCも黙ってしまい
その後やっと「怖っ!」と言った。

音響マンの彼曰く、
人が怖いと感じる音質や音の高さなどを追求した結果、
ある一定の高さで発せられる女性の声に辿りついたらしい。
それも女性ならそのほとんどが出せる声なのだそうだ。
不気味過ぎだ。
(ちなみにその声はアノ時の声に近いそうです。興味深い)
気になった方はゲームをプレイしてみるとよいと思う。

他にも、サイレンと言えば「国民保護サイレン」。
核ミサイルが発射されたとか大規模テロが起こったとか、
日本に何らかの武力攻撃があった有時に鳴る警報。

その存在さえ知らなかったこともあって、
初めて聴いた時は戦慄した。
これもYouTube、もしくは内閣官房国民保護ポータルサイトで聴ける。
聴くとなんとも言えない気分になる。
緊迫感があるのと同時に、なぜかしら諦めにも似た感情が湧く。

このサイレン音には、警告を促しつつも、
パニックや暴動を防ぐための鎮静効果があるのではないかと思う。
しかしながらこのサイレンこそ本当に一生聴きたくない。

こんな寒い時期に、ちょっとゾクッとする音のお話でございました。


※自主制作zine寄稿記事


e0218019_13563669.jpg

[PR]

by hiziri_1984 | 2013-11-11 14:11 | 散文  

ヴィム・ヴェンダース監督 「Land of Plenty」


“テロリストはどこにいる?”
「自由の国」から真実へ向かうロードムービー


Land of Plenty (2004 アメリカ)
監督/ヴィム・ヴェンダース
出演/ミシェル・ウィリアムズ、ジョン・ディール 他


9.11から2年と1日後から映画は始まる。舞台はロサンゼルス。
9.11以降、愛する母国を見えざるテロリストから守る正義の男。
彼はベトナム戦争の後遺症を身に抱えながらも、
誰に頼まれたわけでもなく、自らの意志でロスの街を自警していた。
そこにアメリカ生まれアフリカ育ちの姪・ラナがやってくる。
ネットや旅を通じてフラットな世界観を身につけた彼女がアメリカで見たものは、
豊かな経済大国でも、夢を掴むチャンスにあふれた自由の国でも、
世界を導くリーダーシップに溢れる国でもなかった。

この映画はドキュメンタリーではない。
でも、9.11の真相や「アメリカンドリーム」が
国を世界に知らしめる誇大宣伝広告に過ぎなかったことが分かったいま、
アメリカのリアルな姿のひとつがおそらくまちがいなくここにある。
ヴェンダース監督は、ロスの貧民街にも、
そこで暮らす人々に手を差し伸べることをタブーとする政府の方針にも、
テレビばかりが世界とつながる窓になった地方都市に暮らす人々の現状にも、
容赦なくカメラを向ける。

終盤、叔父と姪はニューヨークを目指してクルマで駆け抜ける。
アメリカを愛し信じる強く哀れな叔父と、
彼に寄り添いながら世界をも愛そうとたくましく生きるラナのまなざしが
同じ方向を向いて走り出すとき、
そこには他のどこにもない、哀愁とかなしさをまとったひとつの国の実相が見えてくる。

地方都市のハイウェイ沿いで、
ラナが「truth(真実)」と「consequence(必然・結果)」が表裏一体であることを
微笑みながら見つめるシーンは、
ヴェンダース作品屈指のやさしさと美しさに満ちたシーンだと思う。


e0218019_21551057.jpg


※フリーマガシン寄稿原稿

[PR]

by hiziri_1984 | 2013-11-09 22:01 | お酒を頂きながら鑑賞